Antique Cups & Saucers
アンティーク・カップ&ソウサー
色彩と形が織りなす世界
著者:和田 泰志
定価:本体3800円 (税別) ISBN4-06-213072-6
講談社刊
オールカラー 239ページ

 この本は、それぞれのカップ&ソウサーが、なぜその姿で生み出され、存在する意義があったのかを考察するための著作品です。そしてその答えを歴史的事実に見いだし、収録されている歴史的カップ&ソウサーに表された色彩と形状を媒介として、それぞれの時代の要求、政治的背景、経済事情、人間模様を明らかにしてゆくことにより、食器がただ単に美しくて使いやすいという価値観に基づいて作られていたのではないことに視点を向けて論述してあります。
 窯業作品の表現芸術の背後には、権力者の身勝手な欲望があり、戦争による度重なる運命の変転があり、経営効率や財政破綻との苦闘があり、努力と手抜きのせめぎ合いがあります。それらを著作全体を通じてA−B関係にまとめてみました。
 柿右衛門磁器の正確なコピー作品である18世紀のシャンティーイ窯に始まり、第二次大戦後のサンソン社製のサン・クルー窯の正確なコピー作品に終わる本書の写真構成の中で、巻頭から巻末に至る磁器300年の歩みを「有力窯への追従と、有名作品の模倣の文化」と位置づけ、その頂点を19世紀後半の万国博覧会=贋作・模作の始まり、として考えることが骨格となっています。
 窯業関係者としては、ドイツ圏各地の領主達から破格の報酬で招かれ、真正硬質磁器の製造法を伝え歩いたリングラー(成功者)と、自費でイギリス各地に窯を建設し、借金取りから身を隠しながら、フランス風の軟質磁器を追求し続けたビリングズレイ(失敗者)の足跡を対比的に書き表しました。
 しかし、これらA−B関係の大部分は本編全体にちりばめられ、一度読んだだけでは対比に気付かないように工夫してあります。したがってヴィジュアル・ブック(写真集)としても純粋に楽しめるようになっています。
 全体の章立てとしては、磁器作品を大陸と英国に分けて巨視的な対比を明らかにし、さらに19世紀後半の英国作品については、ティーカップとコーヒーカップも章分けしてあります。
 筆者の前著「ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑」との違いは、「銘鑑」では磁器の絵付け・装飾の技法について、典型作を3〜4点掲載することにより、その項目内での類似・相違を対比させて解説したのに対し、本著では各項目が著作全体のどこかにあるA−B対比の中に取り込まれる様式のため、各項目の作品をなるべく1点に集約するようにしました。そういう中でも、模作性が強く現れているウースター、ミントン、ヘレンドなどのメーカーへの理解を深めるため、一部窯業者の作品にはページを貫いて敢えて多数収録しました。
 また英国製磁器カップ&ソウサーの主な形状と製造メーカーについての図表を、初めて発表しました。これはカップの形状に基づいてこの図表を調べていただれれば、その形状でどのメーカーが作品を残したかの概要がわかるものです。製造メーカーが少ないシェイプであれば、パターン・ナンバーとの照合により、製造元特定が容易になると思われます。そして、形状の変遷や発達の流れを明らかにした点では、これまでに類例を見ない研究になっています。
 なお本著は前著の続編ではありませんが、前著で詳しい解説をしなかった「パート・シュル・パート」「ベルリン・トランスパレンシーズ」「ラスター技法」などについては、他の項目よりやや詳細な解説を加えました。

 
 
   
ヨーロッパアンティーク・カップ銘鑑
A Guide to European Porcelain Cups & Saucers
著者:和田 泰志
定価:本体3400円 (税別) ISBN4-408-10214-8
実業之日本社刊
オールカラー 241ページ
 

 この本は、歴史的カップ&ソーサーについての知識・情報を持っていない方に対して、その特質と基本を網羅的に解説し、読後これらの食器類を見る場合のポイントと、購入して生活の中に生かす場合の上手な選び方・使い方などについて論述してあります。
 対象読者としては、歴史的カップ&ソーサーの姿と初めて触れあう人で、実際に昔の食器でコーヒーや紅茶を飲んでみたいという人向きといえます。したがって、安価な量産品から上級品までの多様な採録品がありながらも,比較的購入しやすく、海外の市場で見かけることが多い作品を中心としてあります。
 内容としては、コーヒー・紅茶用食器300年の歴史の全体像を把握するというよりも,主要なメーカー別の製磁史の章を読むことによって、窯業が今日に至る歩みを理解しやすいように構成しました。また絵付け・形状・文様・装飾という章立ての区分で、それぞれの特徴を代表する複数個のカップ&ソーサーを比較検討することにより、西洋の磁器文化にあって我が国にはないものが浮かび上がってくるようになっています。
 古い食器類には、見えにくい割れや欠けがあったり、またそれらを巧妙に修復してあったりして、購入には慎重さが要求されます。さらに18世紀〜19世紀前半のテーブルウエアには、釉薬(うわぐすり)や金彩に鉛や水銀などの重金属が含まれるものがあり、過去にも多くの健康被害を出してきましたので、現在では使用には向かず、観賞用として楽しむしかない作品が多くあります。加えて高級品には贋作の問題もあります。こうしたマイナス面を含めて論述した「コレクターズ・ガイド」の章を最後に設けました。
 さらに、ティーボウルに関する成立と衰退の基礎知識や、意匠登録マークの見方、「ロイヤル〜」という窯名についてなどの面白い雑学コラムもはいっています。
 飾って美しく使って楽しいカップ&ソーサーの世界への道案内として、必携の一冊です。


 

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