ジョン・イエーツ
1820〜25年
ティー・ボウル:H=50m、D=93mm/ソーサー:D=137mm
 本品のシェイプはロンドン・シェイプとスポード社のベル・シェイプから派生した形状で、カップの胴に横線の段差が作られたベル・シェイプのヴァリエーションと、上端が非常に太く、先端が極端にカールした上に、やや傾いた羽造形があしらわれたロンドン・ハンドルのヴァリエーションが特徴である。ジェフリー・バーンズ博士とアルマ夫人によって「ロンドン・ベル・シェイプ」と名付けられている。
 絵柄は典型的な伊万里アレンジ文様で、椿を用いた絵柄に、花菖蒲とそれを誤解したアイビー状の葉が染付で描かれている。全体に豪華な金彩が施されている。
 






ジョン・イエーツ
1820〜35年
コーヒー・カップ:H=63mm、D=80mm/ソーサー:D=142mm
 ピンクとクリーム・イエローの二色の地に、金彩で小花が描かれたフランス風の作品である。地色一〜二色に金彩のみというデザインは、パリ窯業群とその影響を受けたロンドンの絵付け専門工房で多く作られたが、英国の伝統窯業者としてはウースター窯が好んでこのタイプの製品を量産した。「ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑」p.126〜7に掲載したフライト、バー&バー、ウースターの三作品は、全てフランス由来の装飾デザインで仕上げられている。
 本品もこれらと同時期に製作されたもので、イエーツ窯は1820〜35年までの十五年間しか磁器製品を作らなかったが、こうした意匠は磁器製造のキャリアの前半に現れる。
 大陸風の円形装飾が付いたユニークなハンドルを持つこのカップのシェイプは、「オーク&ミッスルトゥ」という。この呼称は一般的なものではなく、イエーツ窯の一連の作品にのみ用いられるものである。名称は、口縁部外側にあるガドルーン内のレリーフ(エンボス)装飾の一部が、ヤドリギ(ミッスルトゥ)の種子の図柄を中心に、左右にオークの葉をあしらったものであることに由来する。
 黄色地には白抜きに金彩で、セーヴル窯起源の「イワシャコの目(ウーイ・ド・ペルドリ)」の図柄が用いられている。
 同じシェイプのティーカップが「アンティーク・カップ&ソウサー」p.63に掲載してあるので、ご参照いただきたい。
 






ジョン・イエーツ
1820〜35年
ティー・カップ:H=44mm、D=97mm/ソーサー:D=147mm
 ジョン・イエーツの工場はスタッフォードシャー窯業群に属し、1784年頃からシェルトンに窯を建設して、アーザンウエアやバサールトといったウエッジウッド系統の陶器を焼き始めた。1820年頃にはボーンチャイナの焼成に成功したが、その後十五年程で事業は衰退し、1835年に閉窯した。
 イエーツの磁器製品は明瞭な発色のエナメルで、1820年頃にロンドンの高級絵付け工房で描かれていた華美な様式を写した作品から、アンピール様式の地色・金彩装飾を用いた清楚なフランス趣味の作品や、伊万里アレンジの英国ならではのユニークな作品まで、短い製造期間に多様なデザインの作例を残した。しかし今日、この窯のテーブルウエアを見つけることは難しい。年間当たりの窯出しの回数と、一回に焼き上がる量が少なかったためと見られている。
 この作品はボーンチャイナ製で、上質な釉薬がかけられている。形状はオールド・イングリッシュ・ハンドル付きのフルート型で、本体碗部の外周には緩やかな山・谷の隆起が造形されている。
 藍地に鋸歯文と金彩があしらわれ、白抜きしたパネル内には、花絵が地面を含めて描かれている。こうして地面から生えている花を描くのは、セーヴル窯第一ロココ装飾第二期(18世紀末期)に流行した様式を写したスタイルである。
 「アンティーク・カップ&ソウサー」p.63に、多種の花尽くしに金彩で鳥絵を描いたイエーツ製のティーカップが掲載してあるので、ご参照いただきたい。
 

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