サンプソン・ブリッジウッド&サン
1860〜65年
ティー・カップ:H=58mm、D=84mm/ソーサー:D=140mm
 本品はこのページに前掲のコーヒー・カップと同一の企画に基づいて製作されたティー・カップである。油を引いたような艶のある釉薬がかけられた白磁に、金彩で「ヴァーミキュレーション(虫這い装飾)」が施されている。
 カップには金彩文様以外の装飾はなく、ソーサー中央部には断崖上に建つ白壁の館と瀑布が描かれている。この風景画が実景を描いたものであるかどうかは不明だが、ピクチャレスク絵画風の誇張した岩の表現や不自然な樹木などがなく、色調を抑えてあっさりとした画面構成になっている。
 






サンプソン・ブリッジウッド&サン
1860〜65年
コーヒー・カップ:H=72mm、D=70mm/ソーサー:D=140mm
 サンプソン・ブリッジウッド&サンは、1805年頃にロントンで創業したメーカーで、スタッフォードシャー窯業群に属し、「アンカー・ポタリー」と称した。製品の主力はアーザン・ウエアだったが、ボーンチャイナも製造し、その白磁・色絵・金彩のいずれもが高い品質を誇っており、優れた作品が今に伝わっている。
 本品は、1860年代に流行したサムレスト付きリング・ハンドルを伴うコーヒー・カップで、ティー・カップは同型で背が低く、幅広になっている。白く滑らかでヒビがない、大変美しい釉薬がかけられた高品質のボーンチャイナ製で、油を引いたような艶のある表面が特徴となっている。
 金彩は「ヴァーミセリ・ギルディング(ヴェルミキュール)」と呼ばれる「虫這い文様」で全体が覆われている。セーヴル窯由来のこの文様は、根気と熟練が必要とされる完全な一筆描きで仕上げられ、開始点と終結点が全くわからない。カップには金彩装飾以外の絵付けはなく、ソーサー中央に開けられた円窓内に、スコットランド風の古城と城に渡るための橋、手前の立ち木の下には湖に釣り糸を垂れる太公望の後ろ姿が描かれている。サンプソン・ブリッジウッド&サンが作ったこの食器シリーズのデザインには、釣り人が描かれている場合が多く、静かな湖畔の透明な空気感が巧みに表現されている。
 

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