マイセン
1824〜50年 染付で交差する剣の窯印
ティー・カップ:H=50mm、D=84mm/ソーサー:D=141mm
 美しい色使いでカラフルに描かれた二羽ずつのエキゾティック・バードの組み合わせが印象的な作品で、鳥には暈しや中間色、微細な差し色が用いられ、精巧な絵付けが鑑賞できる。その他の花絵や昆虫は、鳥絵とは別の絵付け師による分業で仕上げられている。したがって、鳥絵の絵付け師の技術の高さと色彩・構図の素晴らしさが、他の部分の色絵の品質に比べて目立ってしまう結果となっている。
 カップはJシェイプ・ハンドル、あるいはウィッシュボーン・ハンドルなどと称される18世紀の古いタイプのデザインで、全体は浮き彫り(エンボス)仕上げのゴッツコウスキー・パターンのヴァリエーションという、やはり古いタイプの造形になっている。ゴッツコウスキー・パターンの浮き彫りデザインは1741年に発表され、本品は元のパターンから一部を取り除き、草花柄だけを残した意匠となっている。このヴァリエーションは1744年に発表された。ゴッツコウスキー・パターンは、マイセン窯全盛期(〜1745年迄)にデザインされたものだが、このカップ&ソーサーは、百年間に及ぶマイセン窯の長期低迷期に製作され、当時やる気も芸術性も失って、前世紀の遺物的な国家のお荷物になっていたマイセン窯が、いかに無気力なマンネリズムで作品を作っていたかがよくわかる。
 

 

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