H.&R.ダニエル
1825〜30年
ティー・カップ:H=48mm、D=101mm/ソーサー:D=145mm
 スポード・タイプのボーンチャイナに明快な地色と華やかな色絵を施したダニエルの作品は、チェンバレンズ・ウースターと並んで十九世紀前半のイギリスで最も美しい磁器という評価を獲得している。
 スポード窯の優れた絵付け・金彩師であったヘンリー・ダニエルは、1802年にスタッフォードシャー磁器で初めての盛り上げ金彩(レイズド・ゴールド)による加飾を施した作品を製作し、1805年頃に英国で初のシルバー・ラスター彩の使用を達成するなどの成果をあげ、スポード工場の敷地内に独立した絵付け工房を所有するなどの優遇を受けていた。1822年には初期ミントンのビジネス・パートナーだったジョゼフ・プールソンのストーク・オン・トレント工場を買収し、スポード窯との双方合意によりヘンリーは独立した。ヘンリーは兄のリチャードを誘って窯業に資本参加させ、社名はH.&R.ダニエルとなった。リチャードの方が兄ではあるが、持ち株比率により弟のヘンリーの名前が社名の先に出る。1827年にはシェルトンに新たな工場も獲得し、同年シュルズベリ伯の注文により、豪洒なディナー・サーヴィスとデザート・サーヴィスを納品することとなり、事業は繁栄した。
 ヘンリーが1841年に亡くなると、息子のリチャードが事業を引き継いだが、1845年頃には収支が行き詰まり、翌1846年に閉窯した。
 本品はカップ口縁の内側にガドルーンがレリーフ造形された「セカンド・ガドルーン・シェイプ(ダニエル製品のみの呼称)」に、羽飾りの親指掛け(サムレスト)がある優美なハンドルが付いている。このハンドルは十九世紀中盤〜後半に現れる「ブロークン・ループ・ハンドル」の前駆となるものである。
 本品の絵柄はこの窯の作品としては比較的すっきりしたもので、通常よく見られる花絵が控え目に描かれている。金彩はロココ風のCスクロールを用いた枠取りになっており、紺地の部分には輪違いと尖角による風変わりな図柄が見られる。
 ダニエル窯の他のシェイプのティーカップが「アンティーク・カップ&ソウサー」p.60〜62に掲載してあるので、ご参照いただきたい。
 

 

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